M.2 NVMe SSDの基礎知識|むずかしい用語をざっくり解説

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  • M.2って何?
  • Gen 4×4って?
  • NANDってなんぞ?
  • Type 2280ってなに!

PCパーツの中でもNVMe SSDは難しい用語が特に多いです。

BTOパソコンのカスタマイズや、自作PCで知っておくべき単語だけをざっくりまとめました。

気になる人はぜひお読みください。

目次

M.2 NVMe SSDとは?

まず、わかりにくい単語の「NVMe」と「M.2」を整理します。

NVMeとは?

「フラッシュメモリを利用したストレージ(SSD)」の通信方式のこと

「NVMeという通信方式を使ってデータを読み書きしている」とだけ知っていれば良いと思います。

※NVMe(エヌブイエムイー)とは「Non-Volatile Memory Express」の略

M.2とは?

NVMe SSDを差し込むスロットの名前です。

M.2スロットはマザーボード上にあり、製品によって異なりますが1台〜6台までNVMe SSDを装着できます。

メリットとしては高速なことと、配線が不要なこと。

今はゲーム機のPS5にも採用されているので、なじみのある人は多いでしょう。

注意!M.2 SATA SSDもある

上:M-key 下:B&M-key

↑差し込み口の形状が違います。

M.2 SATA SSDとは、M.2スロットに挿すSATAタイプのSSDです。

SATAは2.5インチの古いタイプのSSDと同じで、転送速度が遅いので注意。

動画ファイルといった大容量データの保管先としては十分な速度ですけど、ゲームのインストール先として使うのはおすすめしません。

ちなみに、写真のM.2 SATA SSDは、数年前に間違えて買ってしまったもの。

ケチって安いのを選んだら失敗しました(泣)

みなさんも間違えないように!必ず「NVMe SSD」を選んでください。

M-key、B-key、B&M-keyってなに?

M.2デバイスの端子形状のことです。

画像引用:センチュリー

NVMe SSDは高速転送に対応した「M-key」を使用します。

「B-key」の製品は現在見かけません。(っていうか見たこと無い)

BとMを合体させたのが「B&M-key」となり、低速なSATA SSDで見かけます。

M-keyだけ覚えておけば良いのですが、B&M-keyには注意!

私のように間違って「SATA SSD」を買わないようにしてください。

Type 2280って何?

Type 2280とは、M.2デバイスの「たて x よこ」のサイズです。

※M.2デバイスにはNVMe SSD、SATA SSDのほかにWi-Fiモジュールがある

ほかにもType 2260(22mm x 60mm)、Type 2242(22mm x 42mm)があります。

デスクトップPC用のNVMe SSDは、写真と同じType 2280です。

Gen 4 x 4、Gen 3 x 4 … って何?

Gen 4やGen 3は、PCがデータ転送をする規格の世代(Generation)のことです。

※正式な名称はPCI Express Gen 4、Gen 3

Gen 4だと2000MB/秒、Gen 3は1000MB/秒の転送速度です。

4 x 4や3 x 4は、それぞれを4倍した速度となります。

NVMe SSDもPCIeの規格を使用してデータ転送を行います。

実際には多少のロスがあって、大まかな転送速度はこうなります↓

ストレージ速度の目安
単位:MB/s
NVMe Gen 5×4 SSD(M.2)
〜14,000
NVMe Gen 4×4 SSD(M.2)
〜7,000
NVMe Gen 3×4/4×2 SSD(M.2)
〜3,500
NVMe Gen 3×2 SSD(M.2)
〜1,700
SATA SSD(M.2/2.5インチ)
〜550
HDD(3.5/2.5インチ)
〜200

※最速のGen 5×4はPCマニアとクリエイター向けです。

Gen 3×2以上であればゲームのインストール先として十分な性能です。

現在の主流はGen 4×4です。

価格はGen 3×4とあまり変わらないので、基本的にGen 4×4なNVMe SSDを選ぶのがおすすめ。

ただ、Gen 3×4(3,500MB/s)とGen 4×4(7,000MB/s)って2倍速度が違いますけど、体感だと分からないです。(Gen 3×4でもかなり速い)

もう一つの特徴として、PCIe規格は下位互換機能を持っています。

例えば、Gen 4×4タイプのNVMe SSDをGen 3×4のM.2スロットに挿して使うことも可能です。

その代わり転送速度は落ちます。詳しくは関連記事をチェックしてください。

NAND型フラッシュメモリって?

NANDは「論理演算子のNAND」のことです。

論理演算子には、こんなのがあります↓

  • AND
  • OR
  • NOT
  • NOR
  • NAND

情報処理の勉強をしている人は、「あ〜あれね」と思ったのでは?

つまり、NAND演算を使ったフラッシュメモリ(電源が無くても記憶を保持できるメモリ)のこと。

消去・書き込み・読み出しの3パターンで動いています。

これ以上のことは知らなくても問題ありません。

NAND型フラッシュメモリの種類|SLC、MLC、TLC、QLCって何?

スクロールできます
メモリタイプ速度容量耐久性
TBW
価格
SLC
Single Level Cell
◎◎X◎◎◎XX
MLC
Multi Level Cell
◎◎X
TLC
Triple Level Cell

〜8TB
QLC
Quad Level Cell

〜8TB
容量は2024年2月時点(筆者の調査結果)

現在、AmazonやPCショップといった一般消費者向けのお店で販売されているNVMe SSDは、TLCとQLCです。

耐久性が気になるところですが、TLCだとTBW(書き込み可能なデータサイズ)が400TB〜7200TBくらい。

QLCだとTBWは400TB~800TBくらいと製品によって差があります。

単位がTB(テラバイト)に注目!

1日50GBの書き込みをしてもTLCで8000日〜144273日(22年〜395年)。

QLCでも8000日~16000日(22年~44年)使えることになります。

22年も使えれば困る人はいないでしょう。

引用:Kingston

SLC、MLC、TLC、QLCの差は、データを1つのセル(部屋)にいくつ格納できるかの違いです。

SLCは1ビット(0か1)、MLCは2ビット(00〜11)、TLCなら3ビット(000〜111)といった感じ。

1セルの中に多くの情報を入れることで大容量化を実現していますが、耐久性が弱くなるのがデメリット

とはいえ、QLCでも22年~44年も使える耐久性があるので気にしなくてOKです。

QLCは最も大容量化しやすいのですが、理論上は低速なのがデメリット。ただ、最近のQLCはかなり高速化していて、ベンチマークスコアを気にする神経質な人でなければ問題ない性能です。

※2024年になってTLCも8TBモデルが発売されたけど、製品数は非常に少ない

結論を言うと、今買うならTLCかQLCになるのですが、どっちを選んでも問題ありません。

3D NANDとは?

メモリを垂直方向に重ねて少ない面積の中で大容量化する技術です。

超高層マンションをイメージすると分かりやすいでしょう。

マンションの階数にあたる部分は「そう」と呼ばれていて、2023年では236層(第8世代)までに達しています。

236階建てのマンションって高さがすっごいイメージがありますけど、実際はめっちゃ薄っぺらいです。

HIKSEMI FUTURE 2TB/232層NAND
厚みは2mmほど

↑最新技術ってすごいですね。

一方で2D NANDは、せっまい部屋がたくさんある平屋の一軒家といった感じ。

今は3D NANDがあたり前なので、特に気にする必要はありません。

キャッシュメモリについて|DRAMレスとHMB方式

キャッシュメモリとは、頻繁にアクセスするデータを一時的に保管する専用メモリのことで、処理の高速化に貢献しています。

DRAM搭載モデルの方が安定して高速で、DRAMを搭載しない(DRAMレス)製品は安価だけどデータの読み書き速度が安定しないデメリットがあります。

最近ではHMB方式基板上にDRAMを持たず、PCのメインメモリをキャッシュメモリとして使う方式)を採用した製品も多く見かけるようになりました。

タイプ特徴価格
DRAM搭載安定して速い普通
DRAMレス速度にバラつきあり普通
HMB方式
(DRAMレス)
速い安い

どれが良いか … ですが、「DRAM搭載」か「HMB方式」の2択で、人によって好みが分かれると思います。

こだわりが強い人=DRAM搭載

コスパ重視=HMB方式

高性能モデルなら「DRAM搭載」の一択。安定して速いです。

HMB方式」はDRAM搭載よりもパーツ数が少ないので、価格が安くてお得。普通に使う分には十分な速度です。

問題点は、AmazonなどでNVMe SSDを買うとき「DRAM搭載」「DRAMレス」「HMB」のどれなのか明記されていない製品が多いことです。

特に「DRAMレス」は、ただDRAMが無いタイプなのか、HMB方式なのか判別しにくい

現在のところ「メーカーのホームページで調べる」「基板上のチップを調べる」「Amazonの製品レビューなどを見て判断する」しか方法が無いのが残念なところです。

NVMe SSDのまとめ

この記事に書いてある「難解な単語」を理解すれば、NVMe SSD選びで困ることはないでしょう。

ということで、最後は難しい用語をふんだんに使ってまとめます。

現在のストレージはNVMe SSDが主流です。

高速で配線が不要なのがメリット

今、選ぶならGen 4 x 4な超高速タイプがおすすめ

新しくPCやマザーボードを買う時は、M.2スロットが何個あるのかチェックしましょう。

最新のミドルタワーサイズなPC(ATXサイズのマザーボード)なら、3つM.2スロットがある製品が多いです。

おすすめの容量については使い方次第ですが、2TBあると安心です。

M.2スロットが3個あれば、2TB x 3で6TBも容量を持てるので、一般的な使い方なら困ることは無いでしょう。

キャッシュメモリのタイプは、個人的に「HMB方式」がおすすめ。

容量2TBのGen 4×4で7,000MB/sクラスの製品だと、DRAM搭載モデルより3,000円ほど安いのがポイント。

普通に使う分にはDRAM搭載モデルと違いが分からないですし、Amazonのレビューを見ても同じような意見が多いです。

以上、参考になれば幸いです。

特におすすめなNVMe SSD

ここからは、実際に使ってみて良いと思ったNVMe SSDをご紹介します。

HIKSEMI FUTURE

容量1TB/2TB/4TB
インターフェイスGen 4 x 4
読込速度7450MB/s
書込速度6750MB/s
DRAMなし
HMB方式
TBW1800TB(1TB)
3600TB(2TB)
7200TB(4TB)
保証5年
参考価格10,880円(1TB)
15,880円(2TB)
29,800円(4TB)

HMB方式の中華NVMe SSDで、私はいつもコレを指名買いしてます。

Amazonの口コミもかなり好評で、実際に数本使ってますがかなり速いです。

薄型の放熱シートが付いてますが、マザーボード付属のヒートシンクを上から被せて使ってます。

おすすめは2TB

Amazonだといつも1,500円くらいの割引クーポンが付いています。

Hanye HE70

容量1TB/2TB/4TB
インターフェイスGen 4 x 4
読込速度7450MB/s
書込速度6700MB/s
DRAMなし
HMB方式
TBW1800TB(1TB)
3600TB(2TB)
7200TB(4TB)
保証5年
参考価格8,500円(1TB)
13,000円(2TB)
28,800円(4TB)

こちらもHMB方式の中華NVMe SSD。

中身は一つ上でご紹介したHIKSEMI FUTUREと同じです。

大型のヒートシンク付きなので、PCの増設用やPS5向け。

もちろん動作は良好で速いです。

おすすめは2TB!

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更新:2025年2月5日

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